今年も公立高校後期試験が終了しました。私立中学入試はすでに次年度に向けてスターとしており、新学年での模擬試験も実施されております。年々低年齢化する受験対策ですが、就学児童をかかえておられるお母さん方の多くは、わが子の将来や教育について非常に悩んでおられます。共通した悩みの多くは中学受験の過激な競争に対するものです。その中でわが子が取り残されてしまわないかと心配し、わが子に能力以上の期待をかけ、有名中学を目指し塾に通わせ、過度な負担をわが子に課してしまいます。それほどの過酷な負担が果たして必要なのでしょうか? |
少子化による生徒確保のための経営戦略 |
少子化による生徒の減少は塾の経営にとって、重大な問題です。生徒獲得競争は塾産業の中において熾烈を極めています。大手塾は合格実績が評価の対象になるため、塾生に過酷なカリキュラムを強制します。塾内では、生徒の成績によるランク付けをはかります。そのような大手塾に通う一部の生徒の中に、クラス分けされた下位のクラスの子に対する軽蔑の言葉を平気で話す子がいます。彼らにとって人間性までクラス別に分けられているのでしょうか?彼らの話の中には塾の教師の言動の中にも、成績による差別的な態度をうかがい知ることができます。他塾との競争に勝ち残っていくために、多くの中学受験塾は競争心を煽る様にして生徒の確保を目指しています。塾経営にとって、生徒の成績を向上させることが正義です。塾の経営戦略に乗って、踊らされてはいませんか?日付は忘れましたが、産経新聞に、「大手塾に通わせるようになって、成績は良くなったが、性格が悪くなった。しかし、わが子の将来を考えると受け入れざるをえない。」という記事がありました。受験生を持つ親の気持ちとして、切実なものを感じました。価値観の違いがあるにせよ、成績と引き換えに失うものが大きすぎると思います。 |
必要なのは基礎的な問題解決能力 |
ただ、その成績の評価ですが、本当に正当な普遍的な価値のある評価でしょうか?私が個別指導で算数の問題を解かせるとき、数の面白さを伝えようと、いろいろな試みをします。ひとつの問題をあらゆる方向から見つめていろんな考え方を引き出し考えて答えを出していく。ところが、この方法は生徒には人気がありません。解くためのテクニックを先に知りたがります。速く答えを出すことが受験には必要だからです。暗記よりも考え方の大切な理科の科目でも、問題集で答えの出し方のテクニックを教えます。成り立ちの規則性を言葉で説明して、応用していく方法を理屈で教えます。ところが、問題集の答えと、実際に実験によって出てくる現象が食い違ってくることが多いのですが、問題を単純化して答えに合わせるために本当に起こることについては無視しなければなりません。実際にやってみると理屈抜きに、より高度な段階で、「分かる」のですが、そのような時間をかけていると間に合いません。競争に負けてしまいます。中学受験指導をしていると、理想と現実の矛盾に苦しみます。 |
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